犬の歴史はオオカミと人間との共存生活から誕生した

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イヌ科とネコ科もとは同じ動物だった!

犬の学説上の分類をご存知ですか?
「ネコ目(食肉目)、イヌ科、イヌ属」。そう、元をたどれば猫と同じグループ。 犬と猫は同じ動物だったのです。それがどのように分かれたのでしょうか?

そもそも肉食獣の祖先が誕生したのは、およそ1億年~5000万年前。その後5400万年~3800万年前になると、新しいタイプの肉食獣ミアキスが誕生します。ミアキスにはそれまでの肉食獣の祖先とはまったく違う4本の歯があり、肉を切り裂けるようになったのです。身体はイタチやジャコウネコのように細長くスマートで、森の樹木の上で暮らしていたといわれています。

3800万年~2600万年前になると、森から草原へ移動したミアキスが独自の進化を遂げます。草原で獲物を追いかけて捕らえるようになったミアキスは、開けた場所で獲物を探すため、遠くまで見える視覚と、早く走るための長い足、発達した筋肉を備えるようになりました。

一方、森に残ったミアキスは、獲物に忍び寄るための出し入れ自由な爪と柔軟な身体、カモフラージュに適した模様のある被毛を備えます。これがネコ科動物に進化していったのです。 草原へ移動したものはヘスペロキオンと時はれ、現在の北アメリカにあたる地域で進化しました。解剖学的にイヌ科動物の特徴の内耳を持っていることから、イヌ科動物の直接的な祖先であるといわれています。

犬は北アメリカ大陸からやってきた?
肉食獣の祖先とされるミアキスが誕生したのは北アメリカですが、同時期にユーラシア大陸でも肉食哺乳類が進化していました。アンフィシオンと呼ばれる肉食哺乳類の仲間は、数百万年にわたってユーラシア大陸を支配したといわれています。

しかし、アンフィシオンは絶滅し、生き残って進化したのがヘルペロキオン。北アメリカで進化していた犬の祖先がユーラシア大陸へ伝わったものと見られています。ユーラシア大陸でさらに進化し続けた犬の祖先は、島づたいに海を越え、アジア、ヨーロッパ、アフリカへと広まり、800万年の間に現在の「イヌ科」に属する動物へと枝別れしました。

この進化が完成した後、新しいイヌ科動物のいくつかの種か北アメリカに戻っていったと見られているのです。現在の犬(イエイヌ)につながる動物は、生まれは北アメリカ、育ちはユーラシア大陸というところでしょうか

人がいなければ犬は誕生しなかった?
犬が誕生する前、犬の祖先であるオオカミと人間は、シカなどの同種の獲物を狙うライバルでした。あるとき、好奇心旺盛で警戒心の弱いオオカミが残飯に目をつけ、人間の居住区に近寄るようになったのでしょう。人間はオオカミの外敵を知らせる能力や残飯整理の役割に目をつけ、追い払おうとはしませんでした。

オオカミは人間の側にいれば食事にありつけることを学びます。こうして人間とオオカミはどんどん距離を縮め、そのうち人間は人なつこい性格を引き継いだ子オオカミを選んで育てるようになります。それが何代も行われた結果、人間に従順な現在の犬が誕生したのです。

つまり、もともと人なつこく、野生よりも人間と暮らすことを選んだオオカミが犬の祖先。そして、人間との生活がオオカミを犬へと進化させたのです。こう考えると、犬の人間好きな性質にも納得できます。人間と犬は、その生い立ちから深い絆で結ばれていたのですね。

4種類のオオカミが犬の歴史の始まり
犬の歴史は人間との生活を選んだオオカミが始まりでした。そして、オオカミから犬への進化は、人がより多く定住している場所、つまり人口密度が高い地域で始まります。

人口密度が高ければ、それだけ残飯の量も多くなります。当然、その地域にいたオオカミは、ほかの地域よりも生存率が高く、特定の種のオオカミが繁栄しやすいのです。そうして繁栄したオオカミが、ヨーロッパオオカミ、インドオオカミ、中国オオカミ、北アメリカオオカミの4種です。これらのオオカミが現在の犬の祖先ではないかといわれています。

しかし、人間は何世代にもわたり、さまざまな種類を掛け合わせることで、今の犬を作り出しました。それを考えると、現在いるどの犬種も、1種類のオオカミから進化したとは考えにくいのです。犬には、それぞれ4種のオオカミからの血が受け継がれているのではないかといわれています。

縄文時代から飼われていた!
オオカミが家畜化されたのはいつごろなのでしょうか。それは、今から約170万年前から約1万年前。更新世中期の層で、初期のヒト科(猿人)の骨といっしょにオオカミの骨が発見されています。このことから、オオカミは人間がまだ猿人のころに家畜化され始めたと考えられます。

オオカミの家畜化が進むと、その体つきは小さくなっていきました。おそらくその原因は食生活の変化。当時は人間から豊富な食料を与えられなかったため、犬は胎生時や成長期に十分な栄養をとることができず小さな体しか作れなかったのでしょう。また、小さな体なら少ない食料ですむので、自然淘汰で小型の犬が残っていったとも考えられます。

これらオオカミより小さくなった犬の骨は、ドイツ・オバーカッセルにある約1万4000年前の旧石器時代の洞窟から発見されています。日本では栃原の岩穴住居の遺跡から犬の骨が発見され、約8000年前の縄文時代から犬が飼われていたと考えられています。 ペットフード


小型化していた犬が再び大型に

仕事に合わせてさまざまな犬種が誕生!
人間が犬の家畜化を始めたころ、犬はその高いハンティング能力を買われ、人間の狩猟のパートナーや番犬としての役割を果たしていました。このころの犬は、実は猫よりも体が小さかったのです。ただ、当時の猫は全長70cmもありました。 猫は家畜化に伴い、小型化していった動物です。しかし、犬は家畜化が進むにつれて、1、2kgのものから100kgにいたる大型犬まで、野生の犬からはかけ離れたさまざまな体格の犬が誕生します。 この違いはどこにあるのでしょうか? それは、犬が猫よりも人間との関わりが多かったことを示します。 人間は、より優秀な猟犬を、もっと力強い作業犬をと、生活の中で犬を必要とし、進化に手を加えてきたのです。ギリシア・ローマ時代になると、牧羊犬や闘犬といった、新しい役割の犬が誕生します。闘犬にはマスチフに似た大型の犬が用いられていたことから、小型化した犬が再び大型に選択育種されていたことがわかります。 ルネサンス時代に入ると交易や民族間の移動が盛んになり、さらにさまざまな目的に合わせた犬種が各地で生まれます。15世紀のフランスでは狩猟がブームとなり、狩猟犬が貴重な存在として扱われるようになりました。この時代のヨーロッパの絵画には犬がしばしば登場します。貴族の間ではこのころから犬を愛玩したり、外見を楽しんだりしていたようです。その後もますます犬の用途は多様化します。現代のようなさまま品な犬の姿は、そのまま人と犬の歴史を表しているようなものなのです。

ペットとしての犬が登場したのは17世紀以降
犬は「ペット」として飼われるもの。 今ではそれが当然のことになっていますが、実はペットとしての犬の歴史は、まだ200年程度なのです。 実用性ではなく、審美的な目的や愛玩のための犬が作り出されたのは、17世紀以降イギリスで犬種改良がさらに細かく、盛んに行われていたころに初めて登場しました。当時のぺッ卜の条件は、①家の中に入れる、②個々に名前が付けられている、③けっして人間の食用とされない、という3点でした。19世紀になると、ヨーロッパではスパニエルなどの小型愛玩犬貴族社会のステイタスシンボルとなります。そして一般市民の間でも、貴族をまねて愛玩犬を飼う人が現れました。1874年には初のケンネル・クラブが設立。このときから犬の品種が重視される傾向になります。日本では1949年にJKC(ジャパン・ケネル・クラブ)が設立。以来、犬(純血種)の登録数は増加の一途をたどっています


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